遺産分割協議書はどのように作成するのですか?
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たとえば、次の見本のように、各遺産を誰が取得するのか明記し、前相続人が署名し、実印を押します。
遺 産 分 割 協 議 書 |
被相続人山田太郎の相続人山田花子、同山田一郎、同山田二郎は、被相続人の遺産を下記のとおり分割することに合意する |
記 |
第1条 |
相続人山田花子は、次の相続財産を取得する。 |
1 土地 |
所 在 長崎市○○町1丁目 |
地 番 2番3号 |
地 目 宅地 |
地 積 180.00平方メートル |
2 建物 |
所 在 長崎市○○町1丁目2番3号 |
家屋番号 2番3号 |
種 類 居宅 |
構 造 木造瓦葺2階建 |
床面積 1階100.00平方メートル
2階65.00平方メートル |
3 負債 |
○○銀行興善町支店100万円 |
第2条 相続人山田一郎は、次の相続財産を取得する。 |
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○○銀行大波止支店 普通預金 口座番号 |
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○○銀行銅座支店 定期預金 口座番号 |
第3条 相続人山田花子は、その取得した相続分の代償として、相続人山田二郎に対して、金○○万円を支払う。 |
第4条 本遺産分割協議書により、被相続人の遺産は全て分割されているが、万一今後、本件遺産分割協議書記載の遺産以外の遺産が発見されたときは、別途話し合いをする。 |
第5条 本件各相続人は、相互に協力し、円滑な遺産分割の実現に必要な署名・捺印についても誠実に行うものとする。 |
以上のように相続人全員による遺産分割協議が成立したので、本件遺産分割協議書を3通作成の上、本件各相続人は各1通を所持するものとする |
平成○○年○○月○○ |
相続人 山田花子 |
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氏名 |
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住所 |
実印 |
相続人 山田一郎 |
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氏名 |
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住所 |
実印 |
相続人 山田二郎 |
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氏名 |
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住所 |
実印 |
相続人の中に未成年者がいるのですが、遺産分割はどのように進めるのですか?
- 未成年者は協議に参加できませんので、通常は法定代理人である親権者が未成年者の代理人として協議に参加します。ただし、未成年者と親権者がともに相続人である場合は、両者の利害が対立しますので、家庭裁判所に未成年者の特別代理人を選任してもらう必要があります。たとえば父親死亡後に、母、未成年の子2名が相続人となる場合には、母親の相続分を多くすれば子供の相続分が少なくなるという具合に利害が対立しますので、特別代理人が必要となるのです。この例の場合、それぞれの未成年者に、1名ずつ別の特別代理人が選任される必要があります(1名の特別代理人が2名の未成年者を代理すると、どちらの未成年者の取り分を多くするかで、未成年者同士の利害が対立するからです)。特別代理人としては、第三者的な親族(おじ、おばなど)や弁護士などが就任する場合が多いようです。
相続人の中に行方不明の者がいるのですが、遺産分割はどのように進めるのですか?
- 行方不明者の生死が7年以上不明のときは、家庭裁判所に失踪宣告を求めることができます。失踪宣告があれば、その行方不明者は死亡したものとして遺産分割を進めていきます。失踪宣告がない場合には、その行方不明者の財産を管理するために相続財産管理人を家庭裁判所に選任してもらう必要があります。相続財産管理人としては、第三者的な親族や弁護士が選任されることが多いようです。
被相続人である亡父親名義の不動産があるのですが、実際にはこれは長男である私の財産です。このような場合でも、父親名義である以上、この不動産は遺産分割の対象になってしまうのでしょうか?
- 他の相続人も、その不動産が長男の財産であって亡父親の遺産ではないと認めているのであれば、遺産分割の対象から除外すれば足ります。問題は、亡父親の遺産か、長男の財産か争いがある場合です。この場合、話し合いでも解決しないときは、民事訴訟で遺産確認の訴えを起こして解決することになります。
父から、兄弟3人で不動産を相続しました。どのような遺産分割方法がありますか?
- 遺産分割は、遺産の性質や種類、各相続人の年齢、職業、心身の状態、生活状況その他いっさいの事情を考慮して行うこととされています。個々の遺産をすべていずれかの単独所有としてもよいし、数人の共有としても構いません。一筆の土地を分割して、その分割された土地を単独所有してもよいし(現物分割)、誰かが単独所有して、その代わりに他の相続人に金銭を払うことにすることもできます(代償分割)。
兄弟の中に、被相続人である父から、生前に、財産をもらった相続人がいます。このような場合でも、相続人同士では、もらった財産を考慮せずに法定相続分に従って遺産分割することになるのでしょうか?
- 被相続人から生前に贈与を受けたような相続人がいる場合、その贈与額を考慮せずに、被相続人の手元に残っていた遺産だけを法定相続分に従って分割するのでは、公平とはいえません。そこで、このような場合、その生前に贈与を受けたような財産を特別受益と呼び、特別受益の価格を被相続人の遺産額に加えた上で、相続分を計算することになります。たとえば、被相続人である父の遺産が2700万円であったとして、長男が300万円の生前贈与を受けていた場合で、相続人が子供(長男と二男)2人だけだったとすると、遺産は2700万円+300万円の3000万円になります。これを2人で分割するので、それぞれの相続額は1500万円となります。長男は相続額1500万円のうち、既に300万円は受領済みですから、300万円を引いて、1200万円が正味の相続額になります。一方、二男は計算額のとおり、1500万円が相続額となります。
長男である私は、被相続人である父の家業を手伝ってきました。また、父が寝たきりになったときは介護もしてきました。このような場合でも、私の貢献度は考慮せずに法定相続分に従って遺産分割することになるのでしょうか?
- 父親の家業従事して、父親の財産形成に貢献したような場合に、その貢献をまったく考慮せずに法定相続分に従って遺産分割するのでは公平とはいえません。そこで、相続人の中に、被相続人の事業に関して労務の提供や財産の提供をしたり、被相続人の療養看護をしたりして、被相続人の財産の維持または増加に貢献をした人がいるときは、その寄与の程度に相当する金額(寄与分といいます)をその貢献した相続人に先に与えることで公平を図ることになっています。たとえば、被相続人である父の遺産が3000万円であったとして、長男が特別の貢献をしたために、長男の寄与分が500万円と認められた場合で、相続人が子供(長男と二男)2人だけだったとします。この場合、寄与分を長男に先に与えますので、遺産を3000万円-500万円の2500万円であると考え、これを法定相続分に従って分割します。すると、子供たちそれぞれの相続分は、1250万円になります。長男はこれに加えて、寄与分の500万円が加算されますので、結局、長男が1750万円、二男が1250万円を相続することになります。